ミミミちゃん(意味が分かると怖い話)

深見の『ミ』に、名前の『ミミ』で、『ミミミちゃん』か。

あだ名まで変わっている。

(やっぱり、ぼくとちがう小学校の子だよな??)

そんなことを考えていると、「あなたの名前はー?」とたずねられた。

「ぼ、ぼくは、松島イツキ。小学4年生だよ」

「そっか、イツキくんだねー!」

ミミミちゃんはにっこり笑って、イツキの机の上の本に視線を向けた。

「だけど、イツキくんはヘンテコな本の読み方をしてたねー。何をしてたのー?」

「あ、えっと、それはね……」

なんて答えよう。同い年くらいの女の子に、「ぼくってビビリだから、こわいものに慣れる特訓をしてたんだ」なんて言うのは、すごく恥ずかしい。

まごついていると、「あ、わかったよー!」とミミミちゃんは顔をかがやかせた。

「イツキくんは、オカルトやこわいものが大好きなんだよー。だから、怪談を暗記してるの。少し読んだら本を閉じて、しっかり記憶できているか、心の中で確認してる」

それから、名探偵が犯人にするみたいに、イツキの顔をビシッと指差した。

「友だちに、こわい話を聞かせるためだよー!」

「ぜ、ぜんぜん、ちがうよ! むしろ真逆だよ!」

イツキは顔を真っ赤にして、あわてて首を横にふった。

「あれれー、そうなのー? だけど、真逆って、どういうことー?」

ミミミちゃんが不思議そうに首をかしげる。

うーん、とイツキは腕を組んだ。
だけど、カッコをつけられるような言い訳は、ぜんぜん思いつかなかった。

イツキは肩をすくめると、あきらめて素直に事情を話すことにした。

自分がこわがりであること。
それを克服したくて、怪談を読んでトレーニングしていたけど、うまくいっていないこと。

それから、週に一回通っている塾の帰りに、ケイゴくんという友だちに、いつもこわい話を聞かされてほとほと困っていること。

「本当は耳をふさぎたいくらいなんだ。だけど、そんなことをしたら、『イツキは弱虫だ』って、きっと塾で言いふらされちゃうから……」

一度口を開くと、ずーっと頭の中をたぷたぷに満たしていた悩みが、ダムに穴が開いたみたいに、いきおいよく流れ出していった。

「なるほどー。それは困ったお友だちだよー」

ミミミちゃんは、眉間にしわを寄せて、なげくように言った。

それから、またパッと明るい表情になった。

「だけど、ちょうどいいよー」

「ちょ、ちょうどいい?」

イツキがきょとんとすると、ミミミちゃんは言葉を続けた。

「わたし、イツキくんの悩みを解決できる、ちょうどいい方法を知ってるよー」