ミミミちゃん(意味が分かると怖い話)

週末、イツキは町の図書館にやってきた。

自分の「ビビリ」を治すためだ。

何だって、得意になるには反復練習が必要だ。
新しい漢字を覚えるときは、何回もノートに書く。計算だって、何度もドリルを解く。

(だったら、こわいことも平気になるためには、何度も練習すればいいんだ!)

いろいろと考えた結果、イツキはそんな結論にたどり着いた。

だから、怪談をたくさん読んで、こわいことに慣れるトレーニングをしようと思ったのだ。

イツキは、小説のコーナーからこわそうな本をいくつか選んで、閲覧席に座った。

よし、と気合を入れて、おどろおどろしい表紙をめくる。

だけど、やっぱりダメだった。

パラッとめくって、少し読む。
こわくてだんだん目が細くなっていき、正面から見られなくなる。
横目でチラリと見るだけになって……バタン! と、いきおいよく閉じてしまう。

これじゃ練習にならないぞ、とまた勇気をふるいたたせて、開く。
そして、すぐに閉じる。

わかってはいたけれど、やっぱりこわすぎて、ぜんぜん読み進められない。

本を開いたり閉じたり。
そんなあやしい動きを何度もくり返していると、不意に背後から声がした。

「なんだか、おもしろいことをしているねー」

イツキはビクッと肩をこわばらせて、あわてて振り向いた。
そこには、カラフルで少し変わった服を着た女の子が顔をのぞきこんでいた。

お人形みたいにかわいいけれど、どこか不思議な雰囲気をまとった少女だった。

背丈はイツキと同じくらい。
だけど、同じ学年にこんな子はいない。
というか、同じ小学校でもないと思う。こんなに目立つ外見の子がいたら、絶対に気づくだろうし。

「えっと、だれ……?」

イツキはしずかな声でたずねた。

彼女は、ニコッとほほえんで言った。

「わたしの名前は深見ミミ。ミが3つ並んでいるでしょ? だから友だちからは、『ミミミちゃん』って呼ばれてるんだー」