『首なし女』はいなかったんだ。
広い公園をシンジたちはくまなく探したんだけど、どこにもいなかった。
ゾウの形をしたすべり台の内側や、フェンスの裏に広がる草むらにも目をやったんだけど、マフラーを巻いた女の人なんていない。
「マフラーを外すと、その女には首の部分がないんだ。頭と身体がはなれててさ。頭部が宙でくるくると回転するらしいぜ。
ぶんぶん、ぶんぶん、って不気味な音を立ててな」
そんな怪異を見たって、タケトがさわぎ出して、だから、シンジたちは公園中を探し回ることになったんだ。
だけど、結局、見つからなかったわけ。
「タケト、またウソついただろー」
「こんな暑いのにマフラー巻いた大人なんていねーよなー」
「いやいや、見たんだって。真夏にマフラーしてたから、オレ、絶対に首なし女だって思ったんだよ。信じてくれよー」
すっかり日が傾いて、赤く染まった公園で、みんなでタケトを囲んで責めた。
だけど、本当のところでは、シンジはほっと胸をなでおろしてた。
本物のおばけにあったらどうしようって、心の中ではすごく不安だったから。
たぶん、他のみんなも同じだと思う。口では怒ってるそぶりを見せているが、安心した顔をしていた。
なのに、ひとりが急につぶやいたんだ。
「み、見つけちゃった……」
震える声で言ったその子は、うつむいていた。顔をのぞきこむと、真っ青だ。
「首なし女のこと?」「本当かよ」「ど、どこにいるんだよ?」
すると、その子は顔をシンジの方に向けて、ゆっくりと口を開いたんだ。
「お前の後ろだーーッ!!」
*
「ひぇっ」
いきなり耳元で大声を出されて、イツキはか弱い声をあげてしまった。
そのまま腰が抜けて、アスファルトの道に尻もちをつく。
お尻に走った痛みに顔をゆがめていると、すぐに、ケラケラという笑い声が頭の上から降ってきた。
見上げると、ケイゴくんがお腹を抱えて笑っている。
「アハハ! イツキ、最高だよ! ナイスリアクション! 本当におまえは、怖い話の聞かせがいのある男だな」
言い返せるような言葉はなく、かわりに「はぁー……」と、イツキはため息をもらした。
震えがやわらいできた足で、なんとか立ち上がって、ズボンについた砂をパパッと払う。
情けないことに、心臓はまだドキドキと騒がしいままで、イツキは夜道に向かってまた小さく息を吐いた。
広い公園をシンジたちはくまなく探したんだけど、どこにもいなかった。
ゾウの形をしたすべり台の内側や、フェンスの裏に広がる草むらにも目をやったんだけど、マフラーを巻いた女の人なんていない。
「マフラーを外すと、その女には首の部分がないんだ。頭と身体がはなれててさ。頭部が宙でくるくると回転するらしいぜ。
ぶんぶん、ぶんぶん、って不気味な音を立ててな」
そんな怪異を見たって、タケトがさわぎ出して、だから、シンジたちは公園中を探し回ることになったんだ。
だけど、結局、見つからなかったわけ。
「タケト、またウソついただろー」
「こんな暑いのにマフラー巻いた大人なんていねーよなー」
「いやいや、見たんだって。真夏にマフラーしてたから、オレ、絶対に首なし女だって思ったんだよ。信じてくれよー」
すっかり日が傾いて、赤く染まった公園で、みんなでタケトを囲んで責めた。
だけど、本当のところでは、シンジはほっと胸をなでおろしてた。
本物のおばけにあったらどうしようって、心の中ではすごく不安だったから。
たぶん、他のみんなも同じだと思う。口では怒ってるそぶりを見せているが、安心した顔をしていた。
なのに、ひとりが急につぶやいたんだ。
「み、見つけちゃった……」
震える声で言ったその子は、うつむいていた。顔をのぞきこむと、真っ青だ。
「首なし女のこと?」「本当かよ」「ど、どこにいるんだよ?」
すると、その子は顔をシンジの方に向けて、ゆっくりと口を開いたんだ。
「お前の後ろだーーッ!!」
*
「ひぇっ」
いきなり耳元で大声を出されて、イツキはか弱い声をあげてしまった。
そのまま腰が抜けて、アスファルトの道に尻もちをつく。
お尻に走った痛みに顔をゆがめていると、すぐに、ケラケラという笑い声が頭の上から降ってきた。
見上げると、ケイゴくんがお腹を抱えて笑っている。
「アハハ! イツキ、最高だよ! ナイスリアクション! 本当におまえは、怖い話の聞かせがいのある男だな」
言い返せるような言葉はなく、かわりに「はぁー……」と、イツキはため息をもらした。
震えがやわらいできた足で、なんとか立ち上がって、ズボンについた砂をパパッと払う。
情けないことに、心臓はまだドキドキと騒がしいままで、イツキは夜道に向かってまた小さく息を吐いた。


