このクズを誰にも渡したくない

これだけの文脈でも俺は理解できた。

いや、普通はすぐ理解できるのに俺には時間が要した。

「二人は・・・・・・」

「そう。昔、今じゃ考えられないくらい仲良かった」

染樹から恥じらいもなくそんな言葉が出るとは想像もしなかった。

「じゃあなんでこの前清水の名前・・・・・・」

「俺が名前言ったら思い出すって思ったんだけどな」

肩回しをしながら清水の手を取り、跪き、甲にキスを落とす。

「まだ有効だろ」

「なっ・・・・・・!」

染樹の言葉に顔を赤くする清水。


俺が取り戻したかった清水の持つ染樹の記憶は、こんなにも簡単に戻ってくるのか。


そう思った頃には遅かった。

どうしていっつも胸糞悪い状況を見ていなきゃいけないのか。

でもどうして胸糞悪いのか分からない。

そんな状況、そんな日々が続いて・・・・・・ようやく気づいた。

正味、染樹に関する記憶が全部消えたままでいいとも思ってしまう時があった。

「俺・・・・・・」