このクズを誰にも渡したくない

「っ!」

視界に入ると余計に心臓が異様なほどに動く。

その原因になるのは一人しかいない。

「・・・・・・染樹・・・・・・」

私が振り向いて、理の後ろにいる染樹を見る。

「あいつって誰だ」

まるで取り調べをしているかのように染樹は私を睨む。

「うるさい。理、行くよ」

私は呼び止める染樹を無視してもう一度理の手を掴み歩き出す。

「・・・・・・馬鹿が」

聞こえた染樹の声にも私は反応しない。


それからだった。

私達が険悪になっていったのは。


「「・・・・・・」」

すれ違う度に私達は睨み合う。

私は何があっても染樹に話しかけなくていいようにして行動した。

ただ・・・・・・少し寂しい気持ちがないって言ったら嘘になる。

絶対に公言はしないけど。