聖女の力を搾取されて使い捨てられた元聖女は、辺境地へ国外追放されて冷酷聖騎士に溺愛されながら運命愛に導かれました

 アンナが意識を失いかけた時、誰かの足音が聞こえてきた。
 「聖女? なぜこんな所に倒れている?」
 足音の主の男性はアンナの聖女の衣装を見て聖女と判断した。
 現在は冬のため、聖女は白バラの模様が入った瑠璃色の冬物ロングケープコートを着ている。
 しかし今日は冷え込みが強いため、アンナにとって防寒が十分ではない。
 男性は地面に薄く積もった雪を踏みながらアンナの元へ早足に向かう。
 「大丈夫か?」
 聖騎士の衣装を着た男性はアンナの身体を抱き起こす。
 聞いた事がない若く低い男性の声がアンナの耳に入るが、意識を失いかけているアンナにその声は届かない。
 優しげで大きく丸い、天の光のような美しく柔らかい黄色の瞳は閉じたまま開く事ができない。
 男性は何度も声をかけるがアンナの反応はない。
 男性は瞳を閉じて声をかけても何も反応しないアンナの顔をじっと見つめる。
 アンナは寒さで冷え切って血色のない頬と唇をしている。
 男性はアンナの顔が何かと重なり、顔を寄せてアンナの冷たい唇に口づけをする。
 男性の暖かい唇が重なるとアンナは眉根を寄せて唇をかすかに動かす。
 男性は自分が初対面の女性に唇を重ねた事とアンナに意識がある事に驚いて目を見開く。
 男性は身長が百五十五センチほどの華奢なアンナを抱きかかえ、乗っていた白馬にアンナを乗せる。
 男性は意識のないアンナが落ちないように、しっかりと後ろから抱きかかえて白馬に乗る。
 白馬は白い羽根を羽ばたかせ、ここから一番近い村へ向かった。
 その際にアンナの手から聖女のロザリオが滑り落ちて、その場に落としていった。