その手を、もう離さない


昼休み。

いつもの踊り場。

二人きり。

昨日までと同じ場所。

でも。

違う。

決定的に違う。

今は。

恋人だった。

その事実だけで。

美都は落ち着かない。

「美都」

翡翠が呼ぶ。

美都が固まる。

まだ慣れない。

全然慣れない。

「……呼ぶな」

即答だった。

翡翠は笑う。

「なんで?」

「なんでもいい」

耳が赤い。

翡翠は見逃さなかった。