その手を、もう離さない


昼休み。

いつもの踊り場へ向かう。

この場所にも思い出が増えた。

初めてまともに話した日。

雨の日ルールが生まれた日。

泣きそうになった日。

助けられた日。

そして告白した日。

思い返せば、翡翠との大事な時間はいつもここにあった。

扉を開く。

すると先に来ていた翡翠が顔を上げた。

その瞬間、ぱっと表情が明るくなる。

その顔を見るだけで安心する自分がいた。

不思議だった。

昨日までだって会っていたのに。

何も変わっていないはずなのに。