その手を、もう離さない


制服に着替えながら、何度もスマホを見てしまう。

通知は来ていない。

分かっている。

まだ朝早い。

それでも気になってしまう。

昨日のトーク画面を開く。

最後のメッセージは翡翠からだった。

『おやすみ☺️』

たった一言。

本当に、それだけ。

付き合う前なら何とも思わなかったはずなのに、今は違う。

昨日までと同じ文章なのに、見え方だけが変わってしまった。

恋人だから。

その事実が、こんなにも人を浮かれさせるものだとは知らなかった。

画面を閉じようとして、ふと笑う。

もし緋色に見られたら絶対に笑われる。

そんなことを考えながら、美都はスマホをポケットにしまった。