その手を、もう離さない


登校。

校門。

教室。

いつもと同じ景色。

なのに。

全然違う。

席へ向かう。

窓際。

翡翠がいる。

好きな人。

違う。

彼女。

その瞬間。

心臓が跳ねた。

「……」

思わず踵を返したくなる。

逃げたい。

恥ずかしい。

「神城くん!」

翡翠が笑う。

いつもの笑顔。

でも。

今日から違う。

彼女だ。

「お、おはよ」

少しだけぎこちない。

美都は目を逸らした。

「……おはよ」

短い。

いつも通り。

でも。

耳だけ赤かった。