その手を、もう離さない


「じゃあさ」

翡翠が少し照れながら言う。

「前より甘えていいとか?」

美都が止まる。

甘える。

その言葉。

妙に意識してしまう。

翡翠は冗談半分だった。

でも。

美都は違った。

しばらく沈黙。

そして。

美都が小さく口を開く。

「……お前は」

翡翠が顔を上げる。

「ん?」

「前から十分甘い」

数秒。

翡翠が固まる。

そして。

一気に顔が赤くなった。