その手を、もう離さない


「ずっとこっち見てたから」

そう言われた瞬間、美都は言葉を失った。

図星だった。

あまりにも図星すぎた。

何か言い返そうとする。

けれど上手く言葉が出てこない。

見ていた。

確かに見ていた。

授業が終わってからずっと。

友達と笑っている姿も。

誰かと話しながら楽しそうにしている姿も。

気付けば目で追っていた。

けれど、それを本人に指摘されるのは話が別だ。

恥ずかしい。

今すぐどこかへ逃げ出したいくらいには。

「……見てない」

ようやく出た言葉は苦しい言い訳だった。

自分で言いながら無理があると思う。

翡翠もそう思ったらしい。

くすりと小さく笑った。

その笑い方が妙に優しくて、余計に誤魔化せなくなる。