その手を、もう離さない


「そのままでいい」

その言葉のあと。

二人とも動けなかった。

翡翠は袖を掴まれたまま。

美都は顔を逸らしたまま。

静かだった。

でも。

心臓だけがうるさい。

翡翠は思う。

恋人になってから。

神城くんが可愛すぎる。

「美都」

呼ぶ。

ぴくっと肩が動く。

「……何」

「今さ」

翡翠が少し笑う。

「離れたくなかった?」

美都が固まる。

図星だった。

でも認められない。

絶対認められない。

「違う」

即答。

早すぎた。

翡翠が吹き出す。