その手を、もう離さない


翡翠は笑い続けている。

本当に楽しそうだった。

付き合う前は見られなかった顔。

その笑顔を見ていると。

不思議と嫌じゃない。

むしろ。

もっと見ていたいと思ってしまう。

そんな自分に。

美都は少しだけ驚いていた。

翡翠が隣に座る。

近い。

肩が触れそうな距離。

ふわりと香るシャンプー。

意識するなと言われても無理だった。

すると。

翡翠が少し体勢を崩した。

肩が触れる。

ほんの少し。

でも。

心臓が跳ねた。