その手を、もう離さない


その笑顔を見た瞬間、美都は思う。

この顔が好きだ。

嬉しそうに笑う顔も。

安心した時に少し目を細める癖も。

全部。

好きだと思った。

付き合ったからといって何かが大きく変わるわけじゃない。

きっと明日も同じように学校へ来る。

同じように話す。

同じように笑う。

それでも。

一つだけ確かなことがあった。

これから先、少しずつ増えていくのだ。

恋人だから知れる表情も。

恋人だから見せられる本音も。

まだ知らない翡翠を知っていく時間が。

それが少し楽しみで。

少し照れくさくて。

どうしようもなく幸せだった。