その手を、もう離さない


付き合った翌日。

神城美都は、目覚ましが鳴るより先に目を覚ました。

眠れなかったわけではない。むしろ何度も眠ったし、何度も夢も見た。ただ、そのたびに目が覚めてしまったのだ。

原因は分かっている。

昨日。

橘翡翠と付き合った。

たったそれだけのことなのに、人生が少し変わってしまったような気がしていた。

天井を見上げる。

静かな朝だった。

いつもと同じ部屋。

いつもと同じ景色。

それなのに胸の奥だけが落ち着かない。

昨日まで好きな人だった。

隣にいるだけで嬉しかった人だった。

けれど今日からは違う。

好きな人ではなく、恋人。

その言葉を思い浮かべただけで、思わず枕に顔を埋めた。

重症だな、と自分でも思う。

けれど止められなかった。