朝食を食べ終えたあと緋色はソファでゲームを始めていた。
翡翠は食器を片付けている。
美都は何となく窓の外を見た。
雨は止んでいた。
帰れる。
本来ならそれでいいはずだった。
なのになぜか立ち上がれない。
「神城さん」
緋色が振り返る。
「何」
「今日も泊まる?」
沈黙。
翡翠が盛大にむせた。
「緋色!」
翡翠が慌てる。
「いきなり何言ってるの!」
「だって泊まった方が楽しいじゃん」
緋色は悪びれない。
美都は無言だった。
帰る。
そのつもりだった。
でも昨日の家を思い出す。
静かな部屋に誰もいないリビング。
雨音。
胸が少しだけ重くなった。
「神城くん?」
翡翠が心配そうに覗き込む。
美都は視線を逸らした。



