君だけが俺の居場所だった


部屋を出て階段を降りる。

するとキッチンに翡翠がいた。

髪を後ろでまとめている。

朝食を作っているらしかった。

「おはよう」

先に気付いた翡翠が笑う。

美都は少しだけ視線を逸らした。

「……おはよう」

言い慣れない言葉だった。

翡翠が少し目を丸くする。

「神城くんから挨拶された」

「うるさい」

「レアだね」

少し笑われた。

朝食の準備を手伝わされる。

正確には翡翠が勝手に押し付けてきた。

「お皿並べて」

「なんで俺が」

「いるから」

意味が分からない。

でも断らなかった。

しばらくして緋色も起きてくる。

「おはよー!」

元気だった。

昨日発作を起こしたとは思えない。

翡翠はほっとした顔をする。

「苦しくない?」

「大丈夫!」

「無理してない?」

「してない!」

いつものやり取りだった。