目が覚めた時美都は一瞬どこにいるのか分からなかった。
見慣れない天井に聞こえる小さな寝息。
数秒遅れて思い出す。
橘家だった。
隣の布団では緋色が眠っている。
まだ朝は早いみたいで窓の外は薄暗かった。
雨は止んでいる。
そのことに少しだけ安心した。
眠れなかった。
正確には何度も目が覚めた。
でも不思議だった。
嫌じゃなかった。
静かな家。
誰もいない部屋。
いつもの朝なら目覚めた瞬間から胸が重かった。
なのに今日は違う。
階下から物音が聞こえる。
誰かがいる音。
それだけで少し落ち着く。
美都はゆっくり起き上がった。



