君だけが俺の居場所だった


また少し沈黙が流れる。

もう寝たかと思った頃緋色がぽつりと聞いた。

「神城さん」

「何」

「姉ちゃん好き?」

その瞬間美都は固まった。

「は?」

思わず聞き返す。

緋色は真面目だった。

「好き?」

「なんでそうなる」

「だって神城さん姉ちゃん見る時優しい」

意味が分からない。

本当に。

「違う」

即答だった。

「ふーん」

緋色は納得していない声だった。

「神城さん」

「何」

「姉ちゃんね」

少しだけ優しい声になる。

「神城さんのこと結構心配してるよ」

美都は黙る。

返事ができなかった。

雨音が聞こえる静かな夜だった。

なのに胸の奥だけが妙に騒がしい。

そして隣から聞こえる寝息。

久しぶりだった。

誰かのいる家で眠るのは。

目を閉じると不思議なくらい安心した。