「意味分からない」 「私も」 即答だった。 美都は思わず眉をひそめる。 翡翠は傘を少し傾けた。 「帰ろ」 静かな声だった。 でも美都は首を振る。 「帰らない」 「なんで」 「帰る場所じゃない」 ぽつりと零れた言葉だった。 翡翠は黙る。 雨音だけが聞こえる。 美都は俯いた。 言うつもりなんてなかった。 でも今日は駄目だった。 家にいると苦しい。 息が詰まる。 静かすぎる部屋も誰もいないリビングも全部嫌だった。 「神城くん」 翡翠が呼ぶ。 「何」 「じゃあうち来る?」 美都は顔を上げた。