「神城先輩ってすごいですよね」
後輩の一人が言う。
「全然怒らないし」
「何でもできるし」
「憧れます」
私は少し驚いた。
美都は近寄り難い人だと思っていた。
でも後輩達の目は尊敬でいっぱいだった。
その時だった。
重そうな段ボールを持った女子生徒がよろける。
「あっ」
次の瞬間美都が動いた。
黙って段ボールを受け取る。
「危ないだろ」
それだけ言って持ち上げる。
女子生徒は真っ赤になったけど美都は気付いていない。
そのまま歩いて行く。
――やっぱり優しい人なんだ。
無愛想だけど冷たいわけじゃない。
むしろ困っている人を見ると放っておけないタイプかもしれない。
だからみんな頼るんだろうな。
その時美都が小さく壁に手をついた。
一瞬だった。
誰も気付かないくらい。
でも私は見てしまった。
顔色が悪くて血の気が引いている。



