君だけが俺の居場所だった


昼休みいつもの階段の踊り場。

翡翠はジュースを飲みながら窓の外を見ていた。

「明日雨だって」

何気ない一言だった。

けれど美都の動きが止まる。

ほんの一瞬本当に一瞬だけ。

「ふーん」

興味なさそうに返す。

でも指先が少しだけ強く握られていた。

翡翠は気付かない。

美都自身も気付いていなかった。

ただ胸の奥が少しざわついた。

雨。

その言葉だけで……

「神城くんって雨好き?」

翡翠が聞く。

「別に」

反射的に答える。

「私はあんまり好きじゃないな」

「なんで」

「洗濯物乾かないし」

翡翠らしい理由だった。

美都は少しだけ肩の力を抜く。

その時翡翠がぽつりと言った。

「でも神城くんはもっと嫌いそう」

美都の視線が動く。

「なんでそう思う」

「雨の日だけ顔違うから」

心臓が跳ねた。

一瞬だけ本当に一瞬だけ呼吸が詰まる。