玄関まで来る。 翡翠は靴を履いた。 「今日はありがと」 美都が言う。 翡翠は目を丸くした。 初めてだった。 美都からそんな言葉を聞くのは。 「どういたしまして」 少し嬉しくなる。 美都は視線を逸らした。 なんだか気恥ずかしかった。 「じゃあ本当に帰るね」 「……ああ」 「お大事に」 ドアが閉まる。 カチリと音が響いた。