君だけが俺の居場所だった


帰り道その言葉がなぜか頭に残っていた。

大事だから様子を見たいからって当たり前みたいにそう言える翡翠。

そしてふと思う。

もし自分が熱を出したあの日翡翠は友達との約束があっても来ただろうか。

そんな考えが浮かんだ瞬間美都は眉をひそめた。

意味が分からない本当に。

でもその答えが少しだけ気になった。

放課後美都と翡翠は並んで歩いていた。

空は曇り雨は降っていない。

最近はこうして一緒に帰ることも増えた。

会話は多くない。

でも不思議と気まずくなかった。

「神城くん」

「何」

「今日ちゃんとお昼食べた?」

「食べた」

「本当?」

「本当」

翡翠は少し疑わしそうな顔をした。

信用がなかった。

住宅街へ入った時だった。

向こうから走ってくる人影が見えた。

「姉ちゃーん!」

聞き慣れた声緋色だった。

翡翠の表情がぱっと変わる。

「緋色!」

駆け寄る。

「大丈夫だった!?」

「大丈夫だって!」

「苦しくない!?」

「苦しくない!」

「吸入した!?」

「した!」

質問攻めだった。

美都は少し離れた場所で見ていた。