君だけが俺の居場所だった


放課後生徒会室へ向かう途中だった。

廊下の向こうに翡翠が見える。

友達と話していた。

その時男子生徒が近付く。

昨日の委員会のやつだった。

翡翠は笑って向こうも笑う。

何かを話していて楽しそうだった。

美都は無意識に立ち止まる。

「神城先輩?」

後輩に呼ばれて我に返った。

「……何でもない」

そう言って歩き出す。

生徒会の仕事中珍しくミスをした。

後輩が目を丸くする。

「先輩大丈夫ですか?」

「大丈夫だ」

でも大丈夫じゃなかった。

なぜかさっきの光景が頭に残っている。

別に付き合っているわけじゃない。

翡翠が誰と話そうが自由だ。

そんなこと分かっている。

なのに気になる。

帰り道校門を出ると。

「神城くん!」

後ろから声がした。

翡翠だった。

一人だった。

それだけなのに少しだけ安心する自分がいる。

「今帰り?」

「ああ」

「私も」

翡翠は隣へ並んだ。

いつもの距離いつもの笑顔。

胸の奥のもやもやが少しだけ消えていく。