昼休み美都はいつもの踊り場へ向かう。
今日はどうだろう。
そんなことを考えた瞬間自分で自分に呆れる。
何を期待しているんだ。
踊り場へ着く。
そして。
「お待たせ」
聞き慣れた声がして美都は思わず視線を向ける。
翡翠だった。
「遅い」
言ったあとで気付く。
完全に待っていたみたいな言葉だった。
翡翠は目をぱちぱちさせる。
それからにやっと笑った。
「待ってた?」
「違う」
「今待ってたって言った」
「言ってない」
「言った」
面倒だった。
本当に。
なのに翡翠が笑っていると少し安心する。
昨日感じていた妙な落ち着かなさもない。
そのことに気付いてしまう。
「緋色ね」
翡翠が話し始める。
「夜には落ち着いたよ」
美都は黙って聞く。
「病院行って吸入して」
「……」
「今日は学校行った」
「そうか」
それだけだった。
でも翡翠は嬉しそうだった。
たぶん心配してくれたことが嬉しいのだろう。
「神城くん優しいね」
ぽつりと言われた。



