君だけが俺の居場所だった


その日の放課後、職員室へ向かっていた。

廊下の角を曲がると職員室の中から声が聞こえた。

「神城、本当に大丈夫か?」

先生の声がして思わず立ち止まる。

「問題ない」

美都の声だった。

「顔色悪いぞ」

「寝不足なだけ」

「無理するなよ」

「してない」

短いやり取りだけどなんでだろ?

全部無理をしている人の言葉に聞こえた。

帰り道、まだ雨が降っていた。

傘を差しながら考える。

神城美都は完璧だ。

みんなそう言う。

先生も生徒も誰も疑わない。

でも本当にそうなのかな?

昨日の顔に保健室。

先生との会話。

全部が少しずつ引っかかる。

「気のせいかな……」

呟く。

だけど気のせいには思えなかった。

雨音の向こうで神城美都という人の本当の姿が少しだけ見えた気がした。