昼休み翡翠は来なかった。
いつもなら。
「やっぱりここだった」
そう言いながら現れるのに。
今日は来ない。
美都は窓の外を見ながら小さく息を吐いた。
別に来なくていいってそう思う。
でも静かすぎた。
昼休み終了のチャイムが鳴る。
結局翡翠は来なかった。
教室へ戻って席に着いてそこで初めて気付いた。
翡翠の席が空いている。
朝はいたはずだ。
「橘さん大丈夫かな」
女子の声が聞こえた。
美都の耳が反応する。
「弟くん発作出たんだって」
「えっ」
「保健室から連絡きて迎えに行ったらしいよ」
発作。
その言葉にはふと以前の会話を思い出した。
『緋色、喘息持ちなんだ』
翡翠の声が蘇る。



