沈黙。 風の音だけが聞こえる。 美都は何も言えない。 嬉しい。 苦しい。 愛しい。 全部一緒だった。 でも。 言葉が出てこない。 翡翠は少し俯く。 やっぱり困らせたかな。 そう思った時だった。 美都の手が伸びる。 そっと。 翡翠の袖を掴む。 本当に少しだけ。 離れないように。 逃げないように。 そして。 掠れた声で言った。 「……帰るな」 翡翠が目を見開く。 美都は俯いたまま。 袖を離さない。 その姿は。 どんな告白よりも。 ずっと本音だった。