翌日の昼休みもいつも通り美都は教室を出た。
いつもの階段の踊り場へ向かう。
静かで誰もいなくて落ち着く場所。
そう思っていた。
なのに踊り場へ着いた瞬間。
「遅かったね」
聞き慣れた声がした。
美都は立ち止まる。
翡翠が座っていた。
当たり前みたいな顔で。
「何してる」
「待ってた」
即答だった。
美都は眉をひそめる。
「なんで」
「来ると思ったから」
意味が分からない。
翡翠は隣をぽんぽん叩く。
「座る?」
「立つ」
「頑固」
「お前に言われたくない」
翡翠は吹き出した。
最近よく笑う。
それも自分の前で。
不思議なやつだった。
「今日はパン持ってきてないからね」
翡翠が先に言う。
美都は少しだけ安心した。
すると翡翠が鞄から何か取り出す。
「おにぎり」
「帰れ」
即答だった。
「食べなかったから」
「食べた」
「嘘」
昨日と同じだった。
美都はため息を吐く。
「なんで分かる」
「顔」
またそれだった。



