美都は少しだけ迷う。 そして。 通話ボタンを押した。 「もしもし?」 翡翠の声。 いつも通り。 優しい声。 それを聞いた瞬間。 胸の奥の張り詰めたものが少し緩んだ。 「……ん」 それしか返せない。 「大丈夫?」 優しい声。 外では台風が暴れている。 雨音。 風の音。 窓が揺れる音。 でも。 今はそれより。 翡翠の声の方が近かった。 「……」 返事ができない。 すると。 翡翠が少し心配そうに言う。 「神城くん?」