帰り道。 大雨だった。 傘を差しても濡れるくらい。 当然。 手は繋がっている。 雨の日だから。 特別だから。 でも。 今日は少し違った。 美都の握る力が強い。 翡翠は気付いていた。 「神城くん」 優しく呼ぶ。 美都は返事をしない。 代わりに。 繋いだ手を少しだけ引いた。 離れるな。 まるでそう言うみたいに。 翡翠は何も言わない。 ただ。 少しだけ強く握り返した。 その温もりに。 美都はほんの少しだけ目を閉じた。