昼休み。 踊り場。 翡翠はすぐ気付いた。 「神城くん」 呼ぶ。 美都は返事をする。 でも。 どこか上の空だった。 「台風気になる?」 翡翠が聞く。 美都は少し黙る。 そして。 小さく頷いた。 その瞬間。 翡翠はそっと手を差し出した。 当たり前みたいに。 もう説明はいらない。 雨の日。 特別。 二人だけの約束。 美都は少しだけ目を見開いた。 そして。 何も言わず手を重ねる。 温かい。 それだけで。 少し呼吸が楽になる。