放課後。 雨だった。 昇降口。 翡翠が傘を開く。 そして。 何も言わず右手を差し出した。 美都は一瞬だけ眉を寄せる。 「……何だ」 「雨の日」 それだけ。 もう説明はいらなかった。 美都は小さくため息を吐く。 そして。 当たり前みたいに手を重ねた。 翡翠が少し笑う。 最近。 この笑顔に弱い。 本当に弱い。 「行こ」 二人で歩き出す。 雨音が響く。 でも。 今日は怖くなかった。