放課後。 雨はまだ降っていた。 窓を叩く音。 灰色の空。 いつもなら嫌な景色。 でも。 今日は少し違った。 教室を出る。 廊下を歩く。 すると。 前を歩いていた翡翠が振り返る。 何も言わない。 ただ。 右手を差し出した。 美都は立ち止まる。 翡翠も何も言わない。 でも。 分かっていた。 昼休みと同じだ。 雨の日だけ。 特別。 「……」 美都は小さくため息を吐く。 そして。 当たり前みたいに手を重ねた。 翡翠が少し笑う。 その笑顔を見るだけで。 胸が温かくなる。