いつもの踊り場。 翡翠はパンを食べている。 でも。 視線はずっと美都に向いていた。 気付いている。 今日の神城くん。 少しだけ違う。 母親と会った日のような。 あそこまでじゃない。 でも。 似ていた。 「神城くん」 優しく呼ぶ。 美都が顔を上げた。 「大丈夫?」 いつもと同じ質問。 でも。 今日は意味が違った。 美都は窓を見る。 雨が降っている。 そして。 小さく頷く。 「平気」 嘘だった。 翡翠には分かる。 最近は分かる。 神城くんの嘘くらい。