「姉ちゃーん!」
二階から緋色の声が響く。
翡翠が振り返る。
「なに?」
「ポカリなくなったー!」
「さっき飲んだでしょ!」
「なくなったー!」
完全に元気だった。
本当に病人か疑うレベルだった。
美都は少し笑う。
その瞬間。
翡翠もつられて笑った。
久しぶりだった。
こんな風に笑えたのは。
「買ってくる」
翡翠が立ち上がる。
すると。
二階からすぐ声が飛んできた。
「神城さんも行って!」
リビングが静まる。
翡翠が固まる。
美都も固まる。
「なんでだ」
「だって荷物重いじゃん」
絶対嘘だった。
ポカリ一本だろ。
「神城さんお願い!」
病人に頼まれたら断りにくい。
美都はため息を吐いた。
「……分かった」



