「お前が」 声が震える。 「特別だから」 翡翠が息を呑む。 好き。 その言葉はない。 でも。 十分だった。 伝わるくらいに。 真っ直ぐだった。 リビングが静かになる。 誰も喋れない。 心臓の音だけがうるさかった。 その時。 二階から緋色の笑い声が聞こえた。 現実に引き戻される。 「……」 「……」 二人同時に視線を逸らす。 限界だった。 この空気。 心臓に悪すぎる。 翡翠は慌てて立ち上がる。 「お、お茶入れてくる!」 逃げた。 完全に。