「……できなかった」 小さな声だった。 翡翠の呼吸が止まる。 「え」 聞き返してしまう。 美都は俯く。 耳が赤い。 「前ならできた」 本音だった。 「でも今は無理だ」 胸が苦しい。 怖い。 でも。 止まれなかった。 「お前が」 声が震える。 「特別だから」 翡翠が息を呑む。 好き。 その言葉はまだ言わない。 でも。 もう十分だった。 伝わってしまうくらいに。 真っ直ぐだった。 そして翡翠もまた。 胸の奥が熱くなるのを止められなかった。