部屋へ入った瞬間。 翡翠は違和感を覚えた。 静かだった。 テレビの音もない。 誰かの話し声もない。 生活感はあるのに。 人の気配がなかった。 美都は靴を脱ぐと、そのままソファへ腰を下ろす。 「神城くん」 「何」 「お家の人は?」 その言葉に。 美都の動きが止まった。 「いない」 短い返事だった。 「仕事?」 「そんなとこ」 それ以上聞くな。 そう言われた気がして、翡翠は口を閉じた。