放課後。 いつもの踊り場。 窓の外は晴れていた。 雨じゃない。 なのに。 美都は窓の外を見ていた。 何も言わない。 翡翠は隣に座っている。 ジュースを持ったまま。 しばらく黙っていた。 そして。 ぽつりと言う。 「今日思い出してる?」 美都の肩が止まった。 「……何を」 分かっている。 でも聞く。 翡翠は少し笑った。 「お母さんのこと」 図星だった。 美都は目を伏せる。 何も言えない。 最近はそうだった。 急に思い出す。 胸が苦しくなる。 でも。 誰にも言わない。 言えない。