人混みの向こう。
美都が見える。
ちゃんといた。
その瞬間。
胸の奥がほっとする。
安心した。
はっきり分かるくらい。
そして。
翡翠は気付いてしまう。
なんで安心したの?
たった数メートル離れただけなのに。
なんで探したの?
「姉ちゃん」
隣の緋色がにやりと笑う。
嫌な予感しかしない。
「なに」
「今神城さん探したでしょ」
翡翠が固まる。
緋色は満面の笑みだった。
「好きじゃん」
その瞬間。
翡翠の顔が真っ赤になる。
そして少し離れた場所で。
何も知らない美都がこちらへ歩いてきていた。
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