「翡翠」 突然呼ばれる。 びくっと肩が揺れた。 美都だった。 「何」 声が少し裏返る。 自分でも驚いた。 美都は怪訝そうな顔をする。 「……大丈夫か」 その一言に。 今度は胸が鳴った。 大丈夫か。 ただそれだけ。 なのに。 妙に嬉しい。 「だ、大丈夫」 翡翠は慌てて答える。 美都は少しだけ眉を寄せた。 「変だぞ」 「神城くんにだけは言われたくない」 即答だった。 緋色が吹き出す。 いつもの空気。 でも。 翡翠の心だけ落ち着かなかった。