君だけが俺の居場所だった


「緋色が熱出した時もそうしてるし」

翡翠は続ける。

「起きた時に一人だと不安になるから」

「子供だろ」

「神城くんも病人だから一緒」

「一緒じゃない」

即答だった。

翡翠は吹き出す。

「そういうところ元気だね」

「うるさい」

美都は顔を逸らした。

なんだか調子が狂う。

再び静かになる。

美都は部屋を見回した。

人の気配がある。

話し声がある。

誰かがいる。

それが妙に落ち着かなかった。

そして少しだけ心地良かった。

「……帰ればいいのに」

ぽつりと呟く。

翡翠がこちらを見る。

「帰ってほしかった?」

美都は答えない。

答えられなかった。

すると翡翠はふっと笑った。

「じゃあよかった」

その言葉に美都は何も言えなくなる。

帰ってほしくなかった。

そんなこと認めるつもりはない。

だけど翡翠がまだここにいることに少しだけ安心している自分がいた。