君だけが俺の居場所だった


雨は小降りになっていた。

東屋を出る。

空はまだ暗い。

でも。

さっきまでより少しだけ明るかった。

二人は並んで歩く。

言葉は少ない。

それでも。

不思議と気まずくはなかった。

美都は傘を持つ手に力を込める。

隣を見る。

翡翠がいる。

それだけで。

少し安心した。

「寒くない?」

翡翠が聞く。

「平気」

即答だった。

でも。

声は少し掠れている。

さっきまで泣いていたからだ。

翡翠は少し眉を下げる。

「今日はうち来る?」

優しい声。

当たり前みたいに言う。

美都は少し迷う。

でも。

今は一人になりたくなかった。

小さく頷く。

それだけで。

翡翠は少し安心したように笑った。