「神城くんが苦しいと」 翡翠は俯く。 「私も苦しい」 静かな声だった。 演技じゃない。 慰めでもない。 本音だった。 「だから」 少しだけ笑う。 「神城くんは私にとって特別なんだと思う」 雨音が響く。 でも。 その言葉だけははっきり聞こえた。 美都は何も言えない。 胸が苦しい。 でも。 嫌な苦しさじゃない。 温かい。 知らない感覚だった。 「お前……」 声が掠れる。 「なんでそんなこと言う」 翡翠が吹き出した。 「本当だから」 即答だった。 その笑顔を見た瞬間。 また胸が鳴る。