しばらく沈黙が落ちる。
先に口を開いたのは美都だった。
「帰ってなかったのか」
私はきょとんとした。
「うん」
「なんで」
当然の疑問だった。
普通なら帰っている。
同級生の家だ。
熱も下がってきたし残る理由なんてない。
すると翡翠は少し考えてから言った。
「目が覚めた時に人がいた方が安心するでしょ」
その言葉に美都は固まった。
「……は?」
思わず聞き返す。
翡翠は首を傾げた。
「病気の時ってそうじゃない?」
「知らない」
即答だった。
翡翠が少しだけ眉を下げる。
「私は嫌だな」
「何が」
「熱出して起きた時に誰もいないの」
そう言って笑う。
「なんか寂しいじゃん」
その言葉に美都は返事ができなかった。
寂しい。
そんなこと考えたこともなかった。



