美都が目を覚ました時部屋は薄暗かった。
カーテンの隙間から見える空はすっかり暗い。
どれくらい寝ていたのか分からない。
身体はまだ重い。
でもさっきより少しだけ楽だった。
ぼんやりと視線を動かす。
その時だった。
キッチンの方に人影が見えた。
誰かがいる。
一瞬だけ胸が揺れた。
――母さん。
そんなはずないのに。
本当に一瞬だけそう思った。
でも次の瞬間には現実へ引き戻される。
そこにいたのは翡翠だった。
「起きた?」
翡翠が振り返る。
その声に美都はゆっくり身体を起こした。
「……何してる」
掠れた声が出る。
「洗い物」
当たり前みたいに答える。
美都は部屋を見回した。
テーブルの上は片付いていた。
使った食器もない。
ペットボトルもまとめられている。
「勝手に片付けるな」
「気になったから」
「余計なお世話」
「知ってる」
全然気にしていない顔だった。



