母親は少しだけ目を逸らした。 そして。 ぽつりと呟く。 「……あの時は仕方なかったの」 雨音に混じる声。 「私も限界だった」 美都の肩が震える。 「一人で育てて」 「……」 「正直、息が詰まりそうだった」 その言葉が。 胸に突き刺さった。 「お母さん……」 初めて声が出た。 震える声。 でも。 母親は続ける。 「美都は悪くない」 そう言ったあと。 少し間を置く。 そして。 「でも」 その一言で。 全身が強張る。 「あなたを見ると」 母親は苦しそうに笑った。 「昔を思い出してしまうの」