「帰る」 美都が立ち上がる。 その瞬間だった。 ぐらり。 身体が大きく揺れる。 「危ない!」 翡翠が慌てて腕を掴んだ。 美都は眉をひそめる。 「離せ」 「無理」 「歩ける」 「歩けてない」 そのまままたふらつく。 熱があるのは明らかだった。 顔色も悪い。 雨に濡れたせいだけじゃない。 「ほら」 翡翠は傘を差し出した。 「入って」 「いらない」 「入るの」 「命令するな」 「じゃあお願い」 美都は呆れたように目を閉じた。