放課後。 雨はさらに強くなっていた。 昇降口。 翡翠が傘を開く。 「行こ」 並んで歩く。 いつもより近い距離。 雨の日だけ。 美都は少しだけ翡翠の近くを歩く。 本人は気付いていない。 でも。 翡翠は気付いていた。 雨の日だけ。 神城くんは少し違う。 駅前を通る。 人が多い。 傘の波。 すれ違う人たち。 その時だった。 美都の視線が止まる。 数メートル先。 一人の女性。 見覚えがあった。 いや。 忘れたことなんてなかった。 身体が凍り付く。 呼吸が止まる。