「帰る場所ない」 その言葉に。 翡翠は何も言えなかった。 冗談じゃない。 それだけは分かった。 雨音だけが響く。 美都は視線を逸らした。 言うつもりなんてなかった。 なのに口から出てしまった。 「……忘れろ」 ぽつりと呟く。 翡翠は首を振った。 「忘れられないよ」 「忘れろ」 「無理」 即答だった。 美都は深くため息を吐く。 本当に面倒なやつだと思った。