その日はそれ以上何もなかった。 でも。 家に帰ってからも。 頭から離れない。 腕を掴んだ感触。 胸にぶつかった瞬間。 近かった顔。 翡翠の匂い。 思い出した瞬間。 胸がざわつく。 「……何なんだ」 ソファに座る。 目を閉じる。 でも。 思い出す。 また。 思い出す。 完全に重症だった。